みなさんは花粉をご存じですね?花粉は花のおしべの葯(やく)に入っています。大きさはだいたい10〜200 ミクロンです。シャープペンシルの芯が500 ミクロンですから、どれくらい小さいかちょっぴり想像つきましたか?
私たちは走査電子顕微鏡でこの花粉の姿(形)を調べています。この顕微鏡は、自分の目で見るよりもはるかに小さいものを見ることができ、そして普通の顕微鏡にくらべて形がハッキリとわかります。でも色はなくなっちゃうんですけどね!
花粉表面は、セルロース等でおおわれています。その下には骨格のような外層があり、これはたいへん強い物質でできていて、温度にも化学薬品にも耐えます。この外壁には、とげやくぼみ等の形や、網目や流線状の模様がついています。ところどころに発芽口という溝または穴があります。この形・模様は花粉ごとに違いがあります。仲間の植物は同じかというとそうともいいきれないようで、今研究中です。
ちょうど外層にすっぽりおさまるように内層があり、その中に原形質が入っています(この原形質は私達の顕微鏡では見られません)。外層と内層の間には柱があって二つの層をつないでいます。写真はその柱(柱状構造)です。この柱状構造にもいろいろなパターンがあるようなので、私達は研究し始めたところです。
今回のこのショーでは、写真で見るだけでなく、いろいろな形でこの花粉の構造を楽しんでいただきます。ここではそのうちの一つ、立体視をお楽しみください。二つの画像の上にある点が3 つに重なるように寄り目で見ると、柱状構造が立体的に見えます。お楽しみください!