降ってくる雨、なかなか速くその形や大きさまで見えませんし、服や地面をぬらして広がる雨はその大きさを正しく表していません。
小麦粉の中に水滴が入ると,入ってきた水滴とほぼ同じ大きさの小麦粉の玉(以下「雨粒」)ができます。今から100 年以上も前にこれを利用してアメリカのW.ベントレーは降雨のメカニズムについての研究をおこないました。ここではベントレーの方法を利用して、「雨粒」をつかまえて、そのの大きさを確かめて下さい。「雨粒」を集めかたや保存のための工夫の楽しさも分かって頂ければ幸いです。
1 準 備
おたま(カセロール),硬式テニスボールやコーヒー豆などプラスチックの蓋が付いている空き缶,直径10cmくらいのシール容器(またはシャーレ),ガーゼ,小麦粉,フィルムケース,カセットコンロ(電熱器)などの加熱器具,透明定規、卓上のほうき。 そのほか、白い製氷皿と紅いも粉。
シール容器に入れるところ
「雨粒の」とりだし作業
「雨粒」を加工
「雨粒」の保存
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2 方 法
1.小麦粉の中からかたまりを除きます
空かんにガーゼを軽くかぶせ,小麦粉をその上に乗せます。乗せる小麦粉の量は「雨粒」を採集するシール容器の底から1cmぐらいの量が適当ですね。次に,空かんに蓋をし,ガーゼの上の小麦粉がかたまりを残して無くなるまで上下に振ります。缶の中の小麦粉をシール容器に入れます。
2.「雨粒」をあつめます
今回は雨の代わりに卓上ほうきを軽く水につけて振って雨を降らします。シール容器の上蓋をとり,「雨粒」を採集しましょう。
3.「雨粒」を取り出します
2.で採集した「雨粒」の入った小麦粉を空き缶に入れ,1.の作業を繰り返し,ガーゼの上に残った「雨粒」を取り出します。空かんの蓋に「雨粒」があたり。「タンタン」 と音がするようになると作業終了です。
4.「雨粒」を加工します
取り出した「雨粒」を電熱器やカセットコンロ等を使って,おたまでかるくあぶります。クッキーの焼けるにおいがすると作業終了ですね。動かさないとこげてしまいます。加熱中はおたまは小さく振って下さい。
5.「雨粒」の保存
「雨粒」を写真のようにフィルムケースに入れましょう。
3 実際の雨だったら
1.実際の雨で「雨粒」を集めるときには、雨の降り方をみながら採集する時間を決めましょう。
2.地面で跳ね返った雨が入るので地面に直接置かないようにしましょう。
3.降っている雨の「雨粒」の大きさを予想しながら採集するともっと良いですね。
4 もっと調べよう
1.ちょっと大きめのシール容器の底がうっすらと隠れる程度に小麦粉をひいて雨を受けると、雨が小麦粉の上に広がり、実際に感じる雨に近い大きさを観察できます。
2.大雨や小雨、夕立などいろいろな雨の降り方の「雨粒」を採集し、大きさの比較をしましょう。
3.紅イモ粉は酸性アルカリ性にとても敏感です。これを利用してつぎのように酸性雨をつかまえることができます。
紅イモ粉をすり鉢とすりこぎを使って細かくし,茶こしで濾したものを用意します。紅イモ粉を小麦粉全体が紫色になるくらいに混ぜたもので「雨粒」を採集すると、雨の降り始めとしばらくたった頃の「雨粒」で色の変化が見られることがあります。
参考文献
間々田和彦 雨粒を固めよう 川村康文編著 サイエンスEネットの親子でできる科学
実験工作,かもがわ出版 p.100-101 (2000)
間々田和彦 酸性雨が分かる雨あられを作ろう 左巻健男内村浩編著 おもしろ実験・
ものづくり事典,東京書籍 p.486-487 (2002)