科学の鉄人2009

子どもゆめ基金(独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター)助成活動

実験ショー紹介

新人コース
「液体窒素で感じる原子の動き」粉川 雄一郎
「電球と省エネ電球」舩田 優
「空気で物を動かそう」松村 浩一
鉄人コース
「「考える」って、どういうこと?〜石取りゲームの必勝法〜」岡田 晃次
「三原色は誰が決めた?」月僧 秀弥
「もしも僕が化石になったら」佐藤真太郎
「探求!音がなくても音のショー」益田 孝彦

■鉄人コース「三原色は誰が決めた?」
月僧 秀弥

 身の回りには様々な色があります。CDやシャボン玉にはいろいろな色を見ることができますし、虹は7色値いわれています。このような様々な色は三原色から作られていると学んでいます。しかしなぜ三原色なのか学ぶ機会はすくないです。なぜ三原色なのかをいろいろな実験を通して確かめていきます。
【実験1 光の色と色の足し算】
分光シートを使って、電球や蛍光灯の白い光にはいろいろな色が含まれていることを確かめます。そして光の三原色が「赤,青,緑」であることを観察します。そして、赤、青、緑を混ぜ合わせることで、様々な光の色をつくりだせることを調べていきます。カラーの写真もこのような光の色の足し算で作れることも確かめます。
【実験2 物体の色と色の引き算】
 セロファンを使っていろいろな色を作ります。色の三原色が光の三原色と違い、「シアン、マゼンタ、イエロー」であることを確かめます。そして,その違いがなぜ起きるかを考えます。光の色と物体の色の違いを調べていきます。そして,物体の色は,色を引いていくことで,説明できることを確かめます。
【実験3 色は反射】
色が見える(物が見えるのは)の,物体が光を反射するためであることを、いろいろな光の中でどのような色に見えるか実験しながら確かめます。このショーの中では,植物の緑に注目して実験や観察を行います。
【実験4 影】
 色の付いたライトの中に立ち、いろいろな色の影を作ります。影は黒いというイメージがありますが,ライトの使い方で影にも色がつくことを見ることができます。2つのライトをつかって作る色の光からどんな色の影が出来るかを考え、確かめます。
【実験5 補色】
  最初にライトを使った補色の実験をおこないます。2色の光の色から補色を感じます。この実験から色は目が感じることで作られていることを体験します。次に,紙や写真を使っても補色を感じることが出来ることを確かめます。そして,三原色が目の働きで見えることを確認します。それぞれの実験は,そんなに変わった実験ではありません。難しい実験器具も使いません。そんな実験からもたくさんの科学を感じて欲しいと思っています。
 普段見えている色。光や物体の色について学ぶことで、色の原理を知ることができます。そして、その中から三原色が自然によって作られるのではなく、人間の目の働きによって作られていることを感じることができます。身の回りにある様々な物体の色を体験する中から人間の不思議について感じてほしいと思います。

実験ショーのポイント

 「見る」ことを考えるために、このショーを考えました。目の視細胞には桿体細胞と錐体細胞があります。桿体細胞は光の強さを、錐体細胞は色を感じています。普段このような錐体細胞の働きを感じることはありません。
 この内容は小中学校の理科の授業で扱われることはありませんから、いつもサイエンスショーのように学校での利用は考えていません。でも,身近に潜む科学を感じさせることができる実験がたくさんあることを気付くことができるショーになればと思っています。
 光、色、見るということでキーワードをあげていくと、「光の三原色」「加法混色」「色の三原色」「減法混色」「視細胞(桿体細胞,錐体細胞)」「電磁波」「色相」「明度」「彩度」…、いろいろあげることができます。これらをすべて伝えることはできませんが、「見る」をテーマに三原色を構成しました。
 このサイエンスショーを通じて、実験の楽しさや考えることの楽しさを感じていけるよう工夫しました。それは、実験内容や子どもたちとのコミュニケーションに見ることができるのではないかと思います。
 サイエンスショーを作る際に私が考えているのは次の点です。
○科学の本質を伝えるショーになっているか。
○それぞれの年齢、知識によらず考え、楽しめるショーになっているか。
○起承転結(ストーリー)
○実験と体験
 このショーを通じて身の回りにある様々な色についてもう一度改めて見直す機会になればと思います。子ども大人もそれぞれの年齢や知識に応じて感動できるショーを目指しました。子どもたちと一緒に楽しんで下さい。

プロフィール

氏名  月僧 秀弥(げっそう ひでや)
所属  福井県坂井市立春江中学校、サイエンスEネット、ONSEN
福井県坂井市立春江中学校教諭。福井県内小中学校の勤務を経、福井県児童科学館に勤務しサイエンスショーや
科学普及事業、イベントなどを担当していた。
現在は、中学校に勤務しながら全国各地の科学の祭典や科学館・科学イベントでサイエンスショーや科学実験教室、教員研修の講師を務めている。昨年は10県20数カ所でサイエンスショーなどを行いました。
現在取り組んでいるのは、サイエンスショーなどで行われる実験を授業に取り入れること、エネルギー環境教育、新しいショーの開発など。
 URL http://www2.fctv.ne.jp/~gessou/

実験ショーの様子