科学の鉄人2009

子どもゆめ基金(独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター)助成活動

実験ショー紹介

新人コース
「液体窒素で感じる原子の動き」粉川 雄一郎
「電球と省エネ電球」舩田 優
「空気で物を動かそう」松村 浩一
鉄人コース
「「考える」って、どういうこと?〜石取りゲームの必勝法〜」岡田 晃次
「三原色は誰が決めた?」月僧 秀弥
「もしも僕が化石になったら」佐藤真太郎
「探求!音がなくても音のショー」益田 孝彦

■鉄人コース「「考える」って、どういうこと?〜石取りゲームの必勝法〜」
岡田 晃次

 みなさんは、先生や親から「ちゃんと考えているの?」「もっと考えなさい!」「良く考えてから解きなさい」などと言われることはありませんか?そんなとき、「う〜ん・・・・」と、うなっていてもなかなかいい考えが浮かびませんね。そもそも「考える」って・・・どういうことなんでしょうか? どうすればいいのでしょうか?今日はそんな「考えるってどういうこと?」について、私と一緒に考えてみましょう!(「考えることを考える?」なんだか矛盾しているような・・・)
まずは簡単なゲームをしましょう。

ルール:ここに小さな石10個と大きな石1個があります。
この石を小さな石から順番に取り合い、最後に大きな石を取った
人の勝ちです。
ただし、1度に取れる石の数は1個か2個です。

★考えるとは?その1:決まりを見つけよう!〜同じ視点でゲームを分析する〜

「決まり」を見つけやすくするために「勝利宣言」というルールを追加します。

追加ルール:自分が石を取った後に残りの石を数えます。そのときに自分の勝利を確信したら「残りの石が○○個だから、私の勝ちだ!」と誇らしげに勝利宣言してください。

★考えるとは?その2:情報を整理しよう!〜分析結果から何が解ったのか?一般化〜
「勝利宣言」というルールを追加したことで、なんとなく決まりが見えてきましたね。
果たして、残りが何個になったときに「勝利宣言」をしましたか?情報を整理して、もう一度ゲームに挑戦しましょう。もし、それが正しければ、ルール変更しても必ず勝てるはずです。

ルール変更1:小さな石を3個増やして、13個にして挑戦してください。
ルール変更2:小さな石を7個増やして、17個にして挑戦してください。

★ 考えるとは?その3:発想を転換しよう!〜本当に変わったものは何か?〜
またまた、ルール変更します。さあ、どうすれば勝てるかな?

ルール:石の数や石の取り方は変えません。
ただし、今度は最後に大きな石を取った人の負けです。

果てさて?どうしたら勝てるのでしょうか?ちょっと悩みますね。
でも、本当に変わったものってあるのでしょうか?
言葉のトリックにだまされないようにしっかりと考えてくださいね。

★考えるとは?その4:考えを広げよう!〜発見したことを元に拡張する〜
 「考える」ことの楽しみは、何かものごとの仕組みや法則を発見して、理解することだけではありません。
もしかすると「考える」ことの真の楽しみは、発見した後にあるのかもしれません。みなさんもこの基本ルールを元に、新しいゲームを考え出してみてください。

新ゲーム1:1度に取れる石の数を変更する(1個以上3個以内したら、どうだろうか?)
新ゲーム2:1度に取れる石の数を1個以上3個以内とする。ただし、相手が取った個数と同じ個数は取れない。(相手が2個取った後は2個取ることは出来ない)
新ゲーム3:石の代わりにトランプを使いましょう。1 〜6 までのトランプが24 枚。二人が交互に1 枚ずつカードを取っていき、その合計がちょうど「31」になるカードを取った人の勝ち(※31 をオーバーしたら負け)

実験ショーのポイント

 私が科学の鉄人に参加しようと考えたきっかけは、昨今のテレビ番組事情にあります。それは科学がバラエティー番組に取り上げられるようになってきたことにより、「科学の知識や体験が安売りされているのではないか?」と疑問を持ち始めたことです。
 確かにバラエティー番組で紹介されることで、それまで科学に興味関心のなかった人たちへ一次的な関心を与えることには成功しているのかもしれません。しかし、テレビ局特有の過度な演出や番組進行上の問題から生じる「惜しげもなく矢継ぎ早に解答を示してしまう展開」に戸惑いを隠せない人も少なくないでしょう。(おそらくは科学に精通している人にとってはさほど気にならないことかもしれませんが)
 そもそも、科学の楽しみの一つは「自ら考える」という点にあると私は思います。そんな考える楽しみを子供達から奪い去ってしまっていいのでしょうか?果たして、大量の片栗粉を水槽に入れて歩いてみせるような過度な演出は教育的なのでしょうか?目的通りに、子供達の「理科離れ」を食い止めることが出来ているのでしょうか?私には疑問です。
 遊びにしても同じです。出来すぎたおもちゃ、ディズニーランドに象徴される刺激的な娯楽施設。どれをとっても子供たちにとって魅力的な遊びなのでしょう。しかし、そもそも遊びの原点は「路上に転がる1粒の小石」だったりするのではないでしょうか?足元に落ちている小石を拾い上げ、そこから自分達なりのルールを作り、次々と広がりを見せていく。だからこそ、遊びの中には多くの学びがあるのではないでしょうか?
 そこで、今回は「路上に転がる1粒の小石」を拾い上げ、そこから科学教育のあり方などを皆さんと共に再考したいと思います。

プロフィール

氏名  岡田 晃次(おかだこうじ)
所属  野田市教育委員会、地域教育コーディネーター
科学教室主宰。「知識がなくても、遊び心さえあれば何でも挑戦!」をテーマに好奇心の趣くままに毎日を楽しんでいたら、このステージに立っていました。本業は「ものづくりを通した学び」をテーマに、小学生とロボット作りや科学工作・算数遊びなどをする科学教室を主宰しています。
それ以外では、「Rikatan 〜理科の探検〜」の編集委員、ロボコン運営、理科支援員等配置事業の特別講師として千葉県内の小学校へ出前授業、野田市内小中学校で地域教育コーディネーター、千葉市科学館での土日講座講師などなどに挑戦中です。
ちなみに私の活動分野は「科学=理科+算数・数学+工作・技術+etc・・・・」です。

実験ショーの様子