・はじめに
私たちは様々な音に囲まれて生活しています。そこで音とは何か、どんな性質があるかを考えてみましょう。物をたたいたり、こすったり、吹いたりすると、そのまわりの空気が振動します。この空気の振動は音として空気中を伝わり、私たちは耳でそれを聞きます。音はすぐに耳を通り過ぎて、だんだん消えてしまいます。音を記録して後から聞き直すことができないかと考えたエジソンは蓄音機を発明しました。私はそのエジソンの蓄音機を参考にして、身近な材料を使って蓄音機を作りました。私の作った蓄音機で音について勉強してみることにしましょう。
図1
・蓄音機の原理(図1)
糸電話を思い出してみてください。紙コップに向って声を出すと、空気の振動がコップの底を振動させます。この振動は糸を通じて伝わり、相手のコップの底を振動させ、中の空気が振動して音となります。私の蓄音機ではコップの底に付けた竹の針が音の振動にあわせて振動し、針が接したアルミ箔の上に凹凸のある傷を残します。再生して聞くときは、アルミ箔の凹凸の傷の上に竹の針を走らせます。すると、針とコップの底は録音した音と同じように振動し、コップの中の空気も振動して音が再生されるのです。
・蓄音機で録音・再生
私の蓄音機で「メリーさんのひつじ」を録音し、再生してみましょう。130年前にエジソンが作った蓄音機と同じような音です。当時の人々がどんなに驚いたかを想像してみて下さい。
・音の性質
蓄音機で録音したアルミ箔の傷を観察して音の勉強をしてみましょう。音のない所は単なる直線の傷ですが、録音個所では凹凸ができています。凹凸を細かく観察すると、(1)大きな音では窪みが深く空気の振動が大きいこと、小さな音では振動が小さいことが分かります。つまり音の強度は空気の振動の大小で決まります。(2)次に音の高低です。高音部では凹凸の間隔が短く、空気が速く振動した(振動数が高い)こと、低音部では点の間隔が長く、空気の振動が遅い(振動数が低い)ことが分かります。つまり音の高低は空気の振動数で決まります。(3)さらに、凹凸の窪みの形を見ると微妙な違いが発見できるでしょう。これは空気の大きな振動に小さな振動が混じっていることを示します。同じ大きさ、同じ高さの音でも楽器によって微妙に音色が違うことと関係しています。このように音を特徴づける基本的性質とは、(1)空気の振動の大小による音の強度、(2)振動数による音の高低、(3)微小な振動が関係する音色で、これらを音の3要素と言います(図2)。
図2
・CDやMDの原理
最近では録音にCDやMD使われており、ここでは録音した個所にレーザー光を当て、その反射光から音を再生しています。私の作った蓄音機でもアルミ箔上の録音跡にレーザー光を当てて反射光を光電池で受け、ラジカセに入力すれば、光学的に再生することもできます。CDやMDの簡単なモデルとも言えるでしょう。
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