「科学の鉄人」とは

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「科学の鉄人」はどのようにして始まったのか

 子どもの知離れ・理科嫌いが叫ばれる中、民間の教育団体は、学校教育の枠にこだわることなく、幅広く科学教育・普及の振興・発展に寄与してきました。例えば、東京で科学好きな市民が集まって学習会を行っているNPO 法人「ガリレオ工房」(代表:滝川洋二氏)、関西の教員が中心のオンライン自然科学教育ネットワーク(通称ONSEN、代表:山田善春氏)、メーリングリストやウェブによって全国的な活動を展開するサイエンスEネット(代表:川村康文氏)や新理科教育フォーラム(代表:左巻健男氏)、天文教育普及研究会(会長:松村雅文氏)など、実にさまざまな教育団体が活躍しています。これらのグループは地域に根づいた活動やIT を使った全国規模での活動などを展開しています。他にも、仮説実験授業の研究会、科学教育協議会、極地方式研究会などの活動もありますし、ジャパンGEMS センターや日本HOU 協会のように海外の教育手法を日本でも取り入れようと活動している団体などもあります。

 このように、目的をほぼ同じにする多くの団体がありながら、その教育理念や指導方法が異なる団体間で共有されることは、これまでほとんどありませんでした。そこで、これら多くの教育団体に参加を呼びかけ、生涯学習や市民活動においても応用可能な優れた実践事例をお互い披露しあえる場をつくりました。それが「科学の鉄人」です。サイエンスショー(科学実験ショー)の競い合いは、演じる側も観る側もとても刺激的で、すぐれたショーを見ると、科学が文化に育っていくのではないかという実感があります。

「科学の鉄人」がめざすもの

 私たちは、実はこの「科学の鉄人」を単なる科学実験ショーとして開催してきたわけではありません。参加する大人審査員は、優れた「ショー」・「ブース」をじっくり味わうとともに、科学実験ショーやトークなど教育実践について深く議論します。そして、出場者を含む参加者全員で、子どもたちが科学をよりよく理解するための新しい教育手法について考えてきました。こうした活動をとおして、優れた実践のノウハウをお互いに学びあうことができるのです。つまり、このイベントの目的は「科学を文化として捉えられる人々を増やそう」ということに他なりません。

 この「科学の鉄人」を通じて知り合った仲間が、日本各地で科学を文化として身近で感じられる活動・実践を推進して下さっていることでしょう。米村傳次郎氏に続くような実験名人を世に送り出し、一般の人々が科学をもっと楽しいと感じてもらえたらと思っています。「科学の鉄人」のコンセプトは、審査して1 位を決めることが第一義ではありません。優れた実践者の活動を見て、互いに学習することが主たる目的なのです。

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