科学の鉄人出場者決定
サイエンスプレゼンテーション2010科学の鉄人に出場する4名が決定しました。
4人の出場者の枠に対して10人の応募があり、今年も昨年に続いて大変な激戦となりました。
応募書類から、どのショーもすばらしいものであることが想像され、10件の応募から4件のショーを選ぶことは非常に難しい作業となりました。審査にあたっては「ステージにおける実験ショーまたはトークで、いかに子どもを引き付け、科学の原理を理解させるか」という観点から慎重に検討させていただきました。
以下に、出場が決定した4名と実験ショーの応募内容をご紹介します。
- マジックは科学〜メビウスの輪の謎解きに挑戦しよう〜 (野呂茂樹)
- 「みつお動物園へようこそ!」 〜足跡から動物の世界をのぞいてみよう〜 (高久全生)
- 空気を操るQバン忍者 (木色泰樹)
- チューインガムの不思議を探ろう! (工藤博幸)
マジックは科学〜メビウスの輪の謎解きに挑戦しよう〜
野呂茂樹(青森県板柳町少年少女発明クラブ)
- メビウスの輪を組み合わせた輪を切断すると予想に反した輪ができ科学教室では好評の演目です。ある日、子どもからの“なぜそうなるの?”に“ひねってつないであるから”と説明しましたが得心してくれません。そこで、考えついたのが「平行に並べたひも」でした。(“平行ひも”の利用は野呂のオリジナル。ひもには磁石を埋め込んであるので、ひも同士の接続が容易で、また、鉛直な白板上でも使える)これを利用することにより、子どもたちは納得し、進んで複雑な輪のマジックの謎解きに挑戦しました。“謎が解けた!”との嬉々とした顔は素敵です。メビウスの輪の謎解きを通して「順序立てて考える力」を育みたい。
- 「演示」(1つの輪が2つの輪にさらにそれらは大きな1つの輪と大小2個が絡んだ輪になる)
→「参加者による実験」(会場の関係ではさみが使えないので、予めミシン目を入れた紙製物を準備)
→「謎解き」(“平行ひも”をどうつなぐと同じような輪ができるか?)
→「発展」(より複雑な輪での実験と謎解きに挑戦)。 - マジック的手法をふんだんに取り入れ興味関心を引きつけ、工夫した材料により参加者が自ら体験でき、謎解きの楽しさ・成就感が味わえるような展開を心がけている。
「みつお動物園へようこそ!」 〜足跡から動物の世界をのぞいてみよう〜
高久全生(北海道教育大学釧路校 大学院)
『みつお動物園』にようこそ。
みつお動物園は、動物の足跡をたどっていくと動物を見つけることができる少し変わった動物園です。
でも、この足跡はどんな動物の足跡でしょうか?
どっちが前足でどっちが後足?
動物によって歩き方がちがうのはどうして?
足跡にはその動物の情報がたくさんつまっています。みつお動物園にご来園いただければ、足跡を見ただけで動物の特徴がわかるようになりますよ!
また、足跡に注目しながら、動物の骨も見てみましょう。会場の皆さんが実際に骨を組み立てたり、動物になったつもりで歩いてみることで、骨格の構造や関節の曲がり方をはじめ、私たち人間にはない動物のすごさや進化の不思議を感じることができます。
みつお動物園に足を踏み込むと、みなさんの 家の近くの動物園に行って、動物を見てみたくなること請け合いです。みなさんも、足跡から動物の世界をのぞいてみませんか?
さあ、みつお動物園、本日開園です!!
空気を操るQバン忍者
木色泰樹(出雲科学館(出雲市立北陽小学校))
本ショーの目的は、吸盤と空気の関係を明らかにすることである。Qバン忍者(私)が吸盤の秘密を探っていく流れで進行する。
◆ショーで行う主な実験
- 吸盤の力は障害物を突き抜ける?
吸盤を使って長机を持ち上げる。吸盤と長机の間にプラ板や紙などが複数挟まれていても長机を持ち上げられる実験に注目いただきたい。(オリジナル) - 吸盤には空気が必要!
真空ポンプ等を使って、吸盤がくっつくためには空気が必要であることを明らかにする。 - 引っ張られるとパワーアップ!
ものをぶら下げられたり引っ張られたりした方が長い時間くっつくことをマジックテープと吸盤の比較実験から明らかにする。(オリジナル) - 変り種吸盤を作ろう
吸盤と設置面間の空気圧が低ければくっつくことを応用して、空き缶、やかん、鍋等の内部の空気を抜いて「吸盤」に変身させる。(一部オリジナル)
チューインガムの不思議を探ろう!
工藤博幸(奈良学園中学校・高等学校)
チューインガムの高分子としての性質を実験ショーや参加体験型演示で実施したのはオリジナルと考えています。
1998年に科学の祭典・全国大会で出展し、1999年に毎小新聞に連載して以降改良を重ねて参りました。
・ガムも静電気で動くの?
・ガムのネバネバの温度変化は?
・ガムが口の中で溶けることがあるの?
・かみ終わったガムから消しゴムを作ろう!
の4本立てで、服に付いたガムの取り方やどんな食べ合わせでガムが消えて無くなるか、などを見学者の皆さんと対話しながら演示して理屈を解明していきます。
この実験のコンテンツと流れそのものがオリジナルであり、冷却にコールドスプレーを使用したり、ポリ袋をもむことで、口の中で食物をかむという行為を再現する手法、また非加熱かつ有機溶媒を使わない人力によるガムからの消しゴム作りの手法もオリジナルです。